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帰国生の中学受験で国語が伸びない理由と対策

BY 富田哲郎 2025.11.19

先日、保護者の方からこんなご相談を受けました。
「海外生活を終えて帰国し、中学受験に向けて勉強しているのですが、国語だけ全然伸びないんです。」

英語は得意。算数も論理的に考えられる。
けれど、なぜか国語の読解問題になると得点が安定しない…。
実はこれは、帰国子女のご家庭からよくいただくお悩みなんです。

結論からお伝えすると、国語が苦手なのは“日本語の語感”がまだ十分に育っていないからです。
国語の成績を上げるには、この「語感」を丁寧に取り戻し、読解スキルとして定着させることが欠かせません。

帰国子女が国語を苦手としやすい理由

帰国子女のお子さんは、知的レベルが高く、論理的に考える力に長けています。
一方で、日本語の「文脈」や「行間の読み取り」に苦戦するケースが多いのです。

英語と日本語の大きな違いは、構造の明確さにあります。
英語は主語と述語がはっきりしており、感情や意図も直接表現されます。
それに対して日本語は、主語が省略され、感情を“におわせる”形で表されることが多い。

たとえば、
英語では “I am sad.” と言いますが、
日本語では「少し、寂しい気がする」と表現します。
この「気がする」という曖昧さの中に、話し手の心情や距離感が込められているのです。

帰国子女の子どもたちは、こうした“曖昧さ”の読み取りに慣れていないため、
国語の問題で「なぜそう思ったのか」を問われると戸惑ってしまうんですね。

国語の学力差は「語彙」と「読解スキル」に現れる

授業や模試でよく見られるのは、こんなパターンです。

・選択肢問題では「なんとなく」で選んでしまう
・記述問題で「書きたいことはあるのに日本語で表せない」
・語彙・漢字問題で得点を落とす

つまり、「内容は理解しているのに、それを日本語で表現できない」という状態なんです。

帰国子女のお子さんは、会話レベルの日本語は自然に話せます。
しかし、抽象的な言葉や感情を扱う“書き言葉の日本語”には慣れていないことが多いです。
ここで言う語彙力とは、「単語を知っていること」ではなく、「その言葉の“響き”や“使われ方”を体感的に知っていること」なんです。

家庭でできる国語力アップの3ステップ

① 語彙を増やす

まずは「言葉に触れる量」を意識して増やしていきましょう。
難しい熟語を覚えるよりも、日常で出てくる“感情語”や“生活語”を丁寧に拾っていくのが効果的です。

たとえば、ニュース番組のナレーションを親子で聞きながら、
「“不安を募らせる”ってどういう感じ?」と話題にする。
こうした会話が、自然に日本語の語彙センスを育ててくれます。

② 文脈を読む習慣をつける

読解力を伸ばすには、「どうしてそう思ったの?」と問いかけることが大切です。
物語文を読むときに、登場人物の気持ちを“推測”する練習をしてみましょう。
このとき、親が答えを教える必要はありません。
「どうしてそう思ったのか」を一緒に考える時間こそが、読解の訓練になります。

③ 日本語で「考えを言葉にする」練習をする

海外での生活が長いと、頭の中で英語が先に浮かぶ子が多いです。
その場合、英語で説明したあとに「じゃあ日本語でも言ってみようか」と促してみてください。
はじめはつたなくても構いません。
思考と言葉を日本語で結びつけ直す作業が、まさに“国語力のリハビリ”になるのです。

帰国子女に合う国語教材・指導法

市販の国語問題集を使うときは、「背景が説明されている教材」を選ぶといいでしょう。


たとえば、登場人物の気持ちや日本的な文化背景を丁寧に扱っているもの。
単に「正解を当てる」よりも、「理由を考える」練習になる教材がおすすめです。

また、塾での授業では帰国子女の特性が十分に考慮されないこともあります。
授業スピードが速く、国語の“思考過程”をゆっくり言語化できない場合も多いです。


その場合は、家庭教師やオンライン指導で、ひとりひとりの読み方を言葉にする練習を取り入れると効果的です。


トミタ式でも、読解の根拠を「口に出して説明する」練習を重ねることで、安定して得点できるようになる子が多いです!

ご家庭でできること

国語が伸びないと、つい「読書量が足りないのでは?」と感じてしまうかもしれません。
でも、焦る必要はありません。


海外で過ごした時間は、決してマイナスではなく、むしろ“多言語的な感性”を育ててくれています。

日本語を取り戻す過程は、スポーツで言えば“筋トレ”に近いものです。
すぐに結果は出なくても、毎日の小さな積み重ねで確実に変化が見えてきます。

親としてできることは、結果を急がず、子どもの「考え」を丁寧に聞いてあげることです。
「その言い方、すてきだね」「なるほど、そう感じたんだね」
そうした一言が、お子さんの言葉への自信を育てていきます!

まとめ

国語は「暗記」ではなく、「言葉の感覚」を鍛える教科です。
帰国子女の場合は、英語脳を日本語に再接続していく時間が必要になります。
焦らず、日々の会話や読書の中で“語感”を少しずつ取り戻していくことが何より大切なんです。

読解スキルは一朝一夕では身につきません。
けれど、正しい方向で積み重ねていけば、必ず結果につながります。
お子さんの「日本語で考える力」を、家庭であたたかく育てていきましょう。

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